死に至る病
 翌朝。


 ニュースで妹役の人も病気で死んでいるのが発見されたとかやってた。


 また『心不全』だ。


「怖いなぁ。心臓の病気なのか? なんでこんなに死んでんだ?」


 父が眉間にしわを寄せている。


「あんまり多いんで、ついに原因不明の病気とか報道されたけど、どうなんだ? これ? 人から人に移らないってのは発表されたらしいけど。怖いよなぁ。」


「どっかから拾ってこないでよ。」


「おいおい、冗談じゃない。」


 母は父に対して辛辣だと思う。


 正直、私がカワイイのは、母が美人で、父がイケメンだからだと思う。


 どっちがどっちに惚れたかは知らないけど、今は完全に母の方が強い。


 なんて思ってたら。


 父が急に胸を抑えた。


「うっ。」


 母が一瞬で顔を青くした。


「あ、あなた?」


「お姉ちゃん、私……」


 父が弱弱しく女声を出してそう言った。


 あぁ、これ、昨日のドラマだ。


「死なないで!」


 母もノリノリだ。


 馬鹿すぎる。


 そのままドラマの話になり、2人は昨日見たドラマのシーン再現を始めた。


 私はボーっとそれを見て、2人で役を交換して、さらにそれが先週の分になる頃、ようやく腰を上げた。


「お父さん? 遅刻するよ。」


 私もギリギリだった。


「あ、いっけねー。」


 父が慌てる。


 馬鹿夫婦め。
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