死に至る病
 目の前で何が起きたのか。


 分からない。


 突然、クラスの一人がグッと胸を抑えて、立ち上がった。


 村野とか言う男子だ。


 村野は身体を硬直させ、それから。


 死んだ。


 硬直したまま椅子や机を身体にぶつけながら床に倒れこみ、そのまま死んだ。


 ただ、異常だった。


 肌が真っ白になり乾いて崩れた。


 まるで、パイ生地のような質感で、それはボロリと。


 誰かが悲鳴を上げた。


 村野の顔を見た女子だった。


 岩? 木? とにかく、それは、まるで人間じゃないみたいだった。


 ただ、目のくぼみと鼻の穴がかろうじて。


 口は良く分からない。


 とにかく、授業が中断された。


 悲鳴が飛び交い、クラスメイトが教室を飛び出していく。


 誰かが言った。


 あの病気だ、と。


 君島くんは、田中を抱きしめて、それから、教室を出る。


 私は、動けなかった。
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