死に至る病
 村野の死体。


 教室の外は騒がしい。


 混乱している。


 ゆっくりと立ち上がった。


 冷静だ。


 村野は、遠目で見ても、変わり果ててしまっていた。


 と、気づく。


 教室にいたのは私だけじゃなかった。


 山田だ。


 オカルトとかホラーとか好きな、ちょっと頭がぶっ飛んでる奴。


「へぇ、君も、怖くないの、か。」


 馬鹿か、こいつ。


 声が震えている。


 お前みたいな気持ち悪い奴に声をかけられるほうが、もっとゾッとしたよ。


 ともかく、私は言った。


「何? これ。」


「病気だよ、れ、例の。」


「どもってんじゃねーですよ。どういうことなのか説明しろ。」


 私は、そう、山田ごときに声を荒げてしまった。


 ですよとか言っちゃったけど、私は冷静だ。多分。


 くそ、全部、山田のせいだ。


 私に話しかけてもらえるなんて幸せだと思え、この根暗のびびり野郎が!


 なんて感情が入りすぎてたのか。


「あ、はい。」


 とか言って、山田は身体をびくっとさせた。


 で、逃げ腰になってこんなこと言う。


「とにかく、一緒に逃げませんか?」


「なんで?」


 山田の間抜けな声。


 逃げる? なんで?


「いや、みんな逃げてるし。」


 あ、私、こいつのこと嫌いだわ。


 自主性無いタイプ。


 むかつく。
< 14 / 18 >

この作品をシェア

pagetop