我が道~軌跡~
「ったく、雨が鬱陶しくて仕方ない。私等の味方してくれてんのか分かりゃしない。あの人、きっと雨男だろうな。笑けてくるわ。とりあえず頼んだぜ、総長。道はちゃーんと切り拓いたからよ。」

「おう。ありがとうな。」

周りを見渡せばどうも良い勝負のようだ。

「涙流す覚悟は出来たんか?ん?」

「はは。涙なんか流しやしねーよ。私等はもう幕引きだ。この拳を違う意味に使いすぎた。アンタも大人しく共に引っ込もうや。な?」

「……ハハハ!!!おもろいわ!何や?敵討ちか?ん?あの先行の敵でも打つんか?」

「……いいや。打たねーよ。そんなもん。そんな事でまた拳汚しちゃ、アイツがまた怒鳴るじゃねぇか。けど、てめぇを目の前にするとやっぱり怒りで理性を失ってしまいそうになるわ。」

「仁義か?それとも怒り震えてるのを必死に抑えてるのか?」

「それもちげーな。誓ったからだよ。アイツと。もう殴る為にその拳を使うんじゃねーって。私はそれに従うだけだ。」

「私も千波も最初は荒れ狂ってた。信じるものもなけりゃ信じられる事もなかった。眼前の敵をただひたすら殴るだけの日々だった。心の中じゃどっかで虚しく思ってたんだろな。けど、アイツがそんな私らを変えてくれたんだ。アイツは私等にとっちゃ恩師なんだよ。」
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