オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
「鈴木くんはやっぱりいい人です」


……けど、ふと話す時には以前の敬語が出てしまうらしい。

鈴木くんは大きくため息をついて頭をかいてから、私を見据えた。狂おしそうに胸を押さえて、眉間にシワを寄せる。


「星野さんにとっていい人になる程に、僕の心臓はギリギリと締め上げられるんです」


私は、鈴木くんを傷付けた。

そりゃそうだ。

振った人間の恋愛相談なんて聞かされりゃ誰だって傷付くだろう。

なのに、私は鈴木くんが優しいからって簡単に相談相手に選んでしまった。


鈴木くんの気持ちも配慮せずに。


「っあ」

ごめんなさい、ごめんなさい。

一歩、一歩と後ろに下がる。
鈴木くんの辛そうな顔を見ないことで、現実から逃げ出したかった。

「ごめんね。星野さんを困らせたいんじゃないんだ」

何を言っているの。

そうやって私を心配してくれる鈴木くんが、私よりも困った顔をして感情をもてあましているクセに。


「僕は星野さんをまだ諦められないんだ。中学からの片想いだし、今の星野さんは宮崎先輩と上手くいってない」


「だから僕につけ入っても良いって思わせないで。隙を見せないで。僕を振り回さないで」


震える声で絞り出すようにして最後の呪文を言った。



「僕はまだ星野さんのことを好きなんだ」



晴れ渡った空に、澄んだ空気。

告白には最高の条件なのに、私達の表情は必死で、苦しげで、告白なんて呼べやしない。


人生二度目の、“好き”。

嬉しいよりも、苦しいが勝った。

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