オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
「ごめ……」「言わないで良い」

ごめんなさい。

私の言葉に被せるようにして、鈴木くんは言うと距離を詰めた。


優しくて暖かい鈴木くんのことを好きなのは間違いないのに、何故か怖かった。


「ごめんね。悪いのは僕だ」

私の頬を撫でる鈴木くんの手は、やけに乾いていて酷く震えていた。


「相談に乗るって言ったクセに切れて、僕はどうしようもない子供だよ」


やめて、そんな顔をしないで。

私は鈴木くんに笑っててほしいのに。


「僕達、友達に戻れるかな?」


前みたいに、アニメとか漫画の話で笑い合える関係性に戻れるのなら、私だって望んだ。

でも、戻れるのか。戻って良いのか。

私の無配慮な行動に、鈴木くんを傷つけてしまうだけなのなら、私は嫌だ。


鈴木くんにこんな顔をさせたくないんだ。

じゃあ、どうすれば良いの……?


「……そっか、そうだよね。僕なんて気持ち悪いよね」


私の沈黙を否定と受け取ったのか、鈴木くんの瞳からは大粒の涙が落ちた。

鈴木くんはそれを拭わずに、無理矢理の笑顔を見せた。



「友達に戻りたいなんて、僕の勝手だね」



最後まで笑顔を作ったまま、鈴木くんは私から離れて、屋上を後にした。

友達に戻りたい。

戻れるのなら……。

でも、鈴木くんは、否定してしまった。


「……うぇっ、ひっく、……くっ」


フっておいて泣くなんて身勝手だ。

鈴木くんを選べないクセに、両方を取ろうとするから両方なくしてしまうんだ。


だから、私は友達がいない。

幼い頃から優柔不断でどっちつかずで、皆に迷惑をかけてきた。

私を嫌がる顔が見たくなくて、嫌われたくなくて、あえて私の方から避けた。


作らなければ嫌われることもないんだから、私にとっては最高の環境だったのに、友達になりたいなんて、身の程を過ぎた願いを持ったからだ。


「ごべんね、鈴木くん……」


巻き込んでしまって。
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