オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
静かにしていると変なことまで考えてしまうみたいで、お父さんの姿が出てきた。


お母さんとは違って大きくて、熊みたいな人。

笑う時はお腹の底からがははって声を出すから、いつも家が騒がしかった。


普通のお父さんよりも強くて、優しかった。

と思う。

お父さんを知る程の友達なんていないから、他の人のお父さんなんて知らない。


お仕事は会社で何かする人らしくて、毎日笑顔でいってきますって言ってた。


お母さんはその時は働いてなくて、小学にあがるまではずっとお母さんと二人っきりで絵を描いていた記憶がある。


だけ。


私とお父さんの記憶はそれだけ、だ。


断片的な記憶の結末は、泣くお母さん。

『お父さんは、死んじゃったのよ』

って。


酷く蝉が五月蝿かったから、冗談だよって言葉が聞こえなかったのかもしれない。


何で死んだのかも分からなければ、お父さんに関しての最近の記憶が消えていた。

それはきっと、小学に入ったばかりだった。


ああ。
お父さんは死んじゃったんだ。悲しいな。

胸がぽっかりと穴が空いたみたいに苦しくて、もどかしくて、埋めるように泣いた。


いっぱい泣いて、泣いて、枯れた。



「……と、思ったのになぁ」


目は潤んで、涙が枕に向かって落ちていく。


何故泣いているのかも分からないけれど、感情に身を任せて目を閉じた。
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