オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
「お前ってよく意味分からねぇ行動するよな」

いまだ赤みの引かない頬を擦りながら、ケントは言った。

「アンタこそ。私を下僕にする事の利点が見つからない」


私のアバターが、お城を駆ける。

ユウヒ様に会う為のポイント稼ぎという名の、ミニイベント中だ。


速くゴールにつけば、攻略キャラの優しい褒め言葉が聞ける一方、遅くつくと罵倒の言葉が飛んでくる。

私はMじゃないけど、ユウヒ様の声が聞きたい一心で色んなタイムでゴールしてきた。


当然飛んでくる罵倒は甘い囁きにしか聞こえなくて、私を悶絶させる。

危うく新たな扉を開きそうになってしまった。


だからと言って、下僕という立場に喜びはしない普通の人間なのでね。


「物事の全てに利益を見出だせる訳じゃない。お前だって、このゲームをする事の利点はないだろ」

「あるわ。辛い時に、私を支えてくれる」

自信満々に答えてやれば、ケントはあからさまに引いた素振りを見せた。

「うっわ、痛いヤツ」

「とか言って乙女ゲームをしてるアンタだって大概だからね」


散々人を馬鹿にしておきながらも、ケントはゲームを進めていた。


「これはギャグ漫画並に面白いからな。ほら、コイツとか頭がイカれてやがる」

と、指を差した先には深緑色の髪の毛に、赤と黄のオッドアイの彼。


ルシアンさんがいた。
< 23 / 114 >

この作品をシェア

pagetop