オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
しつこく鳴りやまない目覚ましを止めて、起き上がった。

同時にケントも起き上がる。


私と同じ体内時計がセットされているのかと思う程、同じ時間に起きるな。

ぼさぼさ頭を掻きながら、ケントに言った。

「おはよ」

「……はよ」

恒例化してきたおざなりな挨拶の時は互いに目を合わせない。

ケントなんかよりも先にユウヒ様を目に入れて一日分のヤル気を補充したいって意味もあるけど、何よりもまだケントに慣れないからだ。


いや、下僕発言には慣れている。

ただ寝癖で爆発した頭のケントを見ると、まだ笑いを堪えきれないのだ。


笑うと怒るし、写真撮ると起こるのなら、いっその事見ないのが一番なのだ。


「先居間行ってる」

「おう」

ハイスペックお兄ちゃん(笑)は、数分もしない内に完璧武装で出てくるのだろうなー、とか考えつつ扉を開けると高揚したお母さんに捕まった。


最近お母さんの機嫌が良くて嬉しいのだけど、朝からハイテンションだと低血圧な私には害にしかならない。

お母さんはそれを知った上で抑えられないのだから、相当嬉しいのだろう。


仕方がないけど、許してあげる。


「見て見てー。昨日の家族写真を早速現像してみたの。どう?どうかなー?やっぱり、この写真良いわよねー」

お仕事が早すぎる。


昨日、ケントの発案で撮った四人の写真だ。

家にプリンターはない筈なのに、既に現像するなんて、よっぽど嬉しかったのだろう。


「良かったね、お母さん」

「でしょー!ルルにもこの写真あげる。ちゃんと皆の分現像してきたんだから!!」

無理矢理手に写真を収められた。


幸せそうなお母さんを見ると、嫌な過去を思い出さなくて済む。

このままずっとずっと、お母さんが幸せであれば良いのに。


……その為には、ケントの存在が必要不可欠なのが癪に触るけど。


「おはようございます」

「ケントくん!おはよう!ケントくんにも、昨日の写真をあげるわね!」
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