オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww

待ちに待った放課後、私は二階の奥の一室に来ていた。

何の変鉄もない、普通の物置小屋みたいな外観で、どこにも部室とは書いてない。


私達二学年は三階だから、二階に降りるのは滅多にない。少し楽しいかも。


「教室から離れているのは難点だけど、他の部室から隔離されてるから良いんだよね」

アリスは笑って部室の扉を開けてくれたので、部室に入った。


外の質素さとはうってかわって、中は別世界の様だった。

もう、一目で把握出来ない程大量のアニメグッズが並び、イラストが部屋の一面中に貼られている。


「すっご……」

「だよねー、代々の先輩達が少しずつ増やしていったんだって。五年前に作られたから、いろんなのがあるよ」

私の知らないアニメ、漫画、女性向け、男性向け……ジャンルはバラバラで興味深い。

こんな環境にさらされたら、オタクの血が騒いでしまう。

ウズウズしてきた手を撫でて、あちこち視線を飛ばす。


あっ、あの棚からはみ出ている本……表紙が可愛いな。

黒い背景に小さな女の子が佇んでいる、それだけなのにどこか華があった。


「今日は先輩もこないし、何でも好きに触って良いよ」


さすが、アリス。

私が読みたがっていたのを、よく分かっている。


アリスの言葉に背中を押されて、本棚に駆け寄った。

「……知らない絵柄だ」


“君ノ側ニ、イタイ”


新品の匂いがするけれど、古さを感じさせるその本に何故か誘われている感じがした。

手に取ると、思ったよりも薄くて驚いた。

子供の頃に読んだ絵本と変わらない位だ。


開くと、表紙同様に黒く塗り潰された一ページが待っていた。

そして、次のページも、その次のページも。


ミス、かな?
< 31 / 114 >

この作品をシェア

pagetop