オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
「たっだいまー!」


ニヤケが止まらないまま家に帰ると、穏やかな笑顔の宮崎さんが「おかえり、遅かったね」と返してきて、冷静になった。


「たっ、ただいま……ちょっと、部活に入ろうと思いまして」

「良いね。若い内に色々楽しまないと」

「はいっ、存分に楽しみます」

両手を胸に当てて、大きく頷いた。


すると、宮崎さんはクスリと笑った。大人の余裕のある笑顔で、私が子供過ぎるのじゃないかと錯覚してしまう。


「そうだね。もう晩ご飯出来てるから、着替えたら居間においで」

「はいっ」

宮崎さんと話す時はいつも先生と話している気分で、妙にかしこまってしまう。

固まった肩を下ろして、荷物を置く為に自室に戻った。


「………………」

委員長なのに、帰りは私の方が遅いのか。

私服のケントが、本を読みながらも視線を私に向けた。


なによう。こっちは絶交してやるって決めたんだから、今更謝られても無駄だから。


思わずファイティングポーズを取るが、ケントはすぐに視線を本に戻した。

何だ。てっきり怒られると思ったから、拍子抜け。


……じゃない、じゃない!

向こうが無視するなら、丁度良い。

私だって絶交したいと思ったんだから!


プイッとそっぽを向いて鞄を置くと、何も言わずに部屋を出た。




「めっずらしいこともあるのねー」

お母さんは、味噌汁を私の前に置きながら言った。

「へ?何が?」

私はお行儀悪く、既に鮭に手をつけている。

もう皆はご飯を済ませちゃったらしく、四人で食事じゃないのだから、別に気にする事はない。

どうやら宮崎さんは、仕事が残ってるらしく、自室に隠っている。


「ルルが部活するって事よ。アンタ、協調性が求められる事は嫌だって常日頃言ってるじゃない」

うわあ、宮崎さんったらもう言ったの?

いや。言われて困る話じゃないけれど、私を熟知するお母さんなら私が変になったと思うかもしれない。


「そうだけど。やりたくなったの」

「へー、何の心変わりかしら」

たくあんを取り、ご飯に乗せて食べた。

うむ、ウマイ。


「私の生き甲斐の、オタク活動を理解してくれる部活なの」

「そりゃ入るしかないわね」

「……今ので納得したの?」

「して欲しくないの?」

と、お母さんは、意味ありげに笑う。


あれ?今更だけど、お母さんに隠し事しても意味がない気がする。いつも、バレてたし。

って、考えてもしょうがない!


最後に味噌汁をかきこんで、豪快におろした。


「むー、ご馳走さまっ!」

「相変わらず早いわねー。お粗末様でした」

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