オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
“第一王子、キャロット”

「一国の王子がニンジンって終わりだな」

その名の通りの橙の髪に、瞳。

予想を裏切らないが、これにハマる理由が益々分からなくなる。

“特徴ーー横暴で我儘な絶対君主。でも、何かあった時には必ず助けてくれる”

「助けてくれようと横暴なら嫌われるだろ」


“第二王子、フリック”

“特徴ーー知的な王子様。国の全てを知っていると言っても過言じゃない”


「ハイスペックだな、おい」


“第三王子、ルシアン”

“特徴ーー物腰柔らかな態度に王国全ての女性が惚れている。明るくて頼れるお兄ちゃん”

赤と黄のオッドアイなら千歩譲って良しとするが、深緑色の髪の毛はなんだ。

しかも八重歯に目元の黒子って……こいつだけ、キャラが強すぎるだろう。

こいつは何人だ。


そもそも物腰柔らかいだけで惚れるのなら、泉から出てきたジャイア○はモテモテじゃねーか。

ルーレットでもしてろ。


“第四王子、ユウヒ”

“特徴ーーそれと言ってないが、いじめられっこ”

この部屋一面に飾られているキャラか。

どことなく俺に似ている気がするのは気のせいだろうか……いや、俺はこんな情けない顔はしてない。

キャラクター説明にそれと言ってないって書かれる程のキャラが俺と似ているなんて、屈辱だ。

説明文を読んでみても、星野ルルがユウヒ様と崇拝する理由が分からない。


星野ルルもいじめられっこだからか?

なーんてな。


“第五王子、ライオネット”

“特徴ーー十歳の少年。物心がついたばかりの無垢な笑顔に、皆が癒される”

この男にいたっては小学生だと?

これもキャラクターとして選択する女の心理が分からない。

分かりたくもないがな。



あらかた説明を読んでから、それをしまった。

何てくだらないストーリーなんだ。

面白いが、それは腹を抱えて笑う方で決して、興味深くはない。


「まあ、こいつが好きなんだよな」


箱を棚に戻してから、星野ルルを見た。

まだ眉間にシワを寄せてやがる。


「ううー……学園の王子様が火を吹いてるぅー……」

「ぶっ」

口を開いたと思ったら、阿呆な事を吐いて。


「なんて夢を見てるんだよ。星野ルル」


悔しいが、うなされながら目を食い縛る星野ルルを一瞬でも可愛いと思ってしまった。

だから、思わず頭を撫でてしまった。


別に、他意などはないんだ。
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