オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
「じゃあ、また明日」

「はい。さようなら」


鈴木くんと家の近くで別れて、私は家に入った。

これで家まで送ってもらうのは三回目になる。

どちらともなく、自然と隣を歩くのだ。

徐々にアリスの話題だけでなく、当たり障りのない世間話を交えながら、会話が出来る様になってきた。


仲良くなれた、と少し自惚れてしまう。


鈴木くんは笑顔を見せてくれるようになったし、目を合わせてくれるようにもなった。

ふふふ。最初の頃とは全然違う。


「気持ち悪ぃ。玄関でニヤニヤしてんなよ」

「っ!何だよ……関係ないだろ」

頬を触れば、だらしなく緩んでいた。

「関係ない訳ねーだろ。……一応同居人だし」

「はあ?」


何が、関係ないだ。

ケントの方から、干渉するなって言ったくせに、私には干渉するのか。

大体学校でだって話しかけてきて……ああ。考えるほど腹が立つ。


でも、落ち着け。

玄関で声をあらげちゃ、お母さんが変に思う。


「あっそ」

するりと隣を通りすぎて、居間に行こうとした。

その時だった。


「った」


強い力で腕を引かれて、無理矢理部屋に連れ込まれたのは。

鞄をゆっくり下ろすとか、そんな事を考えられる程頭は冷静にならなくて、気がついたら手から離れていた。


何を訴えたいのか、掴めないケントの表情に押されて一歩……また一歩と後退りする。


「話、終わってねーけど」

「は?意味分からない」

何でケントが悲しみと怒りの混じった表情をするのか。

何で私は部屋の隅に追い詰められているのか。


ゲームみたいに攻略法を教えてくれなきゃ、正解なんて分からない。


「お前、最近の態度おかしい」

それは、絶交を解消した時にだって話したじゃないか。

もう過ぎ去った事を掘り返すなよ。

「おかしくなんかない」

目を真っ直ぐ見れなくて、ふいっと顔を反らした。


「おかしいだろ。いつもなら毎日ユウヒ様やらを崇めてたクセに、今やテーブルの絵に向かってニヤニヤしてやがる」

あ、それって、鈴木くんからもらった絵だ。

「ついに二次元の男に物足りず、女にまで手を出したのか?」
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