オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
ニヤリ、意地悪な笑みを浮かべてケントは腕を組んだ。


「バカじゃないの?私はユウヒ様専門だし!」

もしも女の子に傾くとしたらそれはアリスだけだ。

間違っても自分可愛い的なナルシーにまで、自分を落とすことはない。


「ユウヒ様って二次元だろ……阿呆だな」

私をバカにした台詞なのに、顔は安堵したような笑顔でちぐはぐだ。

もう、話せば話す程、意味が分からなくなる。


「……うるさい」

耳に熱が集まったことを隠すために、そっぽを向いて、部屋を出た。

今度は引き止められなくて、ホッとした。


もし、引き止められていたら、鏡に映った私の顔が見られていたのだ。

頬はうっすら赤らんでいて、瞳は潤み、眉はゆったりとしたカーブを描く。

この表情は、ああ、考えたくないけど……乙女ゲームの主人公の表情に似ている。


それも、恋をした瞬間の。


「ないないない!!」


私がケントに恋?

死んでまた生き返ったとしても、地球が滅亡したとしてもないね!

あんな傍若無人なクソ王子様に心なびくはずがない!


ちょっと親切にされて、驚いているだけなんだ!

……多分。


自然に赤くなってしまった頬を拭って、さも擦ったから赤くなった体を装って、お母さんの前に出た。

いつも通りの会話に、いつも通りの食事。

いつも通りが続く中、私の心臓だけは上手くいつも通りに作業しなかった。
< 69 / 114 >

この作品をシェア

pagetop