オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
「そういや、今日……」
「ん?」
ケントは言いかけて、うーんと天井を仰いだ。
「や、何でもねー」
「ふーん」
どうでも良いけどね、と付け足しそうになって口を引き締めた。
聞いておけば良かった。
その言葉の先に、何を紡ぐつもりだったの?って問い詰めれば良かった。
後悔するのは、そう遠い話じゃない。
「おはよう」
「おはよー」
時間にゆとりを持って登校するアリスに挨拶し。
「おはようございます」
「あっ、おはようございます……」
遅刻ギリギリの鈴木くんに挨拶をする。
いつも通り、いつも通り。
「ーーえー、であるからして。aに……」
六時間にも及ぶつまらない授業を適度に受けてつつも、ノートの端にイラストを描いていく。
ふあっとアクビをしたら前に座るアリスが、幾何学的なデッサンを描いているのが見える。
いつも通り、いつも通り。
放課後、学校祭ムードでやる気に満ちた教室を抜けて、アリスと二人で部室に向かう。
扉を開ければ、関節技をキメている部長さんと、今にも息絶えそうな鈴木くんが視界に入る。
何事もなく世間話を展開し、それぞれの持ち場について作業を始める。
しばらくしたら解放された鈴木くんが私の前に座って、「ついに星野さんまでコレに慣れたのか……」と落ち込む。
いつも通り、いつも通り。
部活終了後、アリスは部長さんと、私は鈴木くんと一緒に帰る。
アリスの話をしたり漫画の話をしたり、話題は尽きぬまま家の前で別れる。
鈴木くんの背中を眺めて、感慨深くため息ついてから家に入る。
いつも通り、いつも通り。
荷物を下ろそうと自室に入れば、「遅いな」とケントが睨んで……いない。
え、あ。どうして。
ケントがいない。
いつも通りになってしまった日常が、また非日常に塗り替えられてしまう。
ケントだけじゃなくて、ケントの荷物も全てなくなっている。
まるで、この四週間がなかったかのように忽然と姿を消しているのだ。
「……お母さん!!」
「あら、どうしたの?そんなに大きな声を出しちゃって」
お母さんはクスリと笑って、テーブルに料理を置いた。
宮崎さんと、ケントが座るために二人暮らしのお母さんが急いで新調した椅子はなくなっている。
「……何でもない」
ケントがいたという痕跡を探すために、家中を駆ける。
歯ブラシも、シャンプーも、靴も、お弁当箱も、なにもかも、全て私達母子の分だけしかない。
まさか、本当に、ケントと過ごしたというのは私の夢だったの?
震える足で自室を開けると、足元に一枚の写真が落ちているのに気がついた。
それはいつ撮られたのだろうか。
学校祭で、友達と少年みたいに笑い合うケントが写っていた。
こんな写真知らないけれど、見覚えはある。
あ、もしかして。
散らばったピースをかき集め、一つ一つ埋めていく。
私は何かしらあって、この写真を手に入れた。
これを毎日見ている内に、次第にケントが兄であればと望むようになった。
しかし、それは実現できない。
そして、最後の一ピースを中央に埋めた。
ならばと、頭は勝手に考え出して、ケントと住むという夢を見せてしまった。
私はなんと愚かで、なんと阿呆なのか今更ながら気付いた。
もう、ダメだ。
考えれば考える程、頭が回らなくなって苦しくなる。
しまいにはいつものが出て来て、瞼が落ちてベッドに倒れこんだ。
「ん?」
ケントは言いかけて、うーんと天井を仰いだ。
「や、何でもねー」
「ふーん」
どうでも良いけどね、と付け足しそうになって口を引き締めた。
聞いておけば良かった。
その言葉の先に、何を紡ぐつもりだったの?って問い詰めれば良かった。
後悔するのは、そう遠い話じゃない。
「おはよう」
「おはよー」
時間にゆとりを持って登校するアリスに挨拶し。
「おはようございます」
「あっ、おはようございます……」
遅刻ギリギリの鈴木くんに挨拶をする。
いつも通り、いつも通り。
「ーーえー、であるからして。aに……」
六時間にも及ぶつまらない授業を適度に受けてつつも、ノートの端にイラストを描いていく。
ふあっとアクビをしたら前に座るアリスが、幾何学的なデッサンを描いているのが見える。
いつも通り、いつも通り。
放課後、学校祭ムードでやる気に満ちた教室を抜けて、アリスと二人で部室に向かう。
扉を開ければ、関節技をキメている部長さんと、今にも息絶えそうな鈴木くんが視界に入る。
何事もなく世間話を展開し、それぞれの持ち場について作業を始める。
しばらくしたら解放された鈴木くんが私の前に座って、「ついに星野さんまでコレに慣れたのか……」と落ち込む。
いつも通り、いつも通り。
部活終了後、アリスは部長さんと、私は鈴木くんと一緒に帰る。
アリスの話をしたり漫画の話をしたり、話題は尽きぬまま家の前で別れる。
鈴木くんの背中を眺めて、感慨深くため息ついてから家に入る。
いつも通り、いつも通り。
荷物を下ろそうと自室に入れば、「遅いな」とケントが睨んで……いない。
え、あ。どうして。
ケントがいない。
いつも通りになってしまった日常が、また非日常に塗り替えられてしまう。
ケントだけじゃなくて、ケントの荷物も全てなくなっている。
まるで、この四週間がなかったかのように忽然と姿を消しているのだ。
「……お母さん!!」
「あら、どうしたの?そんなに大きな声を出しちゃって」
お母さんはクスリと笑って、テーブルに料理を置いた。
宮崎さんと、ケントが座るために二人暮らしのお母さんが急いで新調した椅子はなくなっている。
「……何でもない」
ケントがいたという痕跡を探すために、家中を駆ける。
歯ブラシも、シャンプーも、靴も、お弁当箱も、なにもかも、全て私達母子の分だけしかない。
まさか、本当に、ケントと過ごしたというのは私の夢だったの?
震える足で自室を開けると、足元に一枚の写真が落ちているのに気がついた。
それはいつ撮られたのだろうか。
学校祭で、友達と少年みたいに笑い合うケントが写っていた。
こんな写真知らないけれど、見覚えはある。
あ、もしかして。
散らばったピースをかき集め、一つ一つ埋めていく。
私は何かしらあって、この写真を手に入れた。
これを毎日見ている内に、次第にケントが兄であればと望むようになった。
しかし、それは実現できない。
そして、最後の一ピースを中央に埋めた。
ならばと、頭は勝手に考え出して、ケントと住むという夢を見せてしまった。
私はなんと愚かで、なんと阿呆なのか今更ながら気付いた。
もう、ダメだ。
考えれば考える程、頭が回らなくなって苦しくなる。
しまいにはいつものが出て来て、瞼が落ちてベッドに倒れこんだ。