オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
お兄ちゃんって良いな。

お兄ちゃんが欲しいな。


ルルの想いは叶われることなく積もるばかりで、ついには弾けて落ちた。

それの発端になったのは、高校一年生の冬。

ある完璧人間との出会いだった。


『……っち』


ある日の昼休み、ウメが大きく舌打ちをした。

彼女が美しいその顔を壊す時は大抵お兄ちゃんが絡むのだけど、彼はいない。


視線の先には女の子達に囲まれて微笑む男子がいた。

友達が少ないルルですら、彼が学園の王子様と呼ばれているのを知っている。


『嫌いなの?』

『嫌いだよ。ああいう善人面してるヤツ。絶対裏じゃ女のことを見下してるよ』

『偏見だなー』

そう思いつつも、ルルも共感出来るところがあった。


全てが善で構成されている人間がいるはずない。

どうせ誰もが暗い一面を持っているんだと、考えてしまう。


けれどもあれが本当の顔だとしたら、なんと良いお兄ちゃんになるんだろうか。

ウメのお兄ちゃんみたいに騒がしくはないけども、会話が多くなって明るい家庭になるんじゃないか。

分からない宿題を優しく教えてくれるんじゃないか。

ゲームを一緒にしてくれるんじゃないか。


学園の王子様を見る程に、お兄ちゃんへの期待が膨らんでいく。


そして、トドメだ。

偶々見えた彼の正面から見た顔が、ルルの愛してやまないユウヒ様に似ていたのだ。


いたら良いな、という欲望はその顔に魅せられて変化した。



あの人は、私のお兄ちゃんだ。

でも、他人にバレちゃいけないから黙っておこう。



星野ルルは、壊れた。
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