オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
隠れルートってのは製作者側の遊びのようなもので、慣れてきた消費者を飽きさせないためにもある。


隠れルートがあると事前に説明されるのが大抵なのだが、“花咲く、プリンス物語”は販売されてから一年や二年後に知らされたりする。

だから、消費者は飽きることなく投資してしまうのだ。


くそう。製作者め……と思いつつも策略に乗せられる私である。


『花咲く、プリンス物語!』

ゲームを起動させると攻略キャラの一人であるキャロットが、ゲームのタイトルを言う。

ぬふふ。声優さんの声がエロくて耳が孕みそう。


でも、私の本命は揺るぎなくユウヒ様である。


オープニング画像の端にいるユウヒ様は、タイトルコールの担当すらないんだけどね……。

主なメインは第三王子までで、その下の二人の王子と飯使い達はサポート役のようなものだ。


私のようなモブ好きをいわゆるマイナーと呼ぶ。

良いんだよ、別に。

王道じゃなくたって。マイナーで生きてやる。


『おかえり、僕のお姫様』

スタートボタンを押すと、ユウヒ様が囁いた。


自分で設定したにも関わらず、思わず見悶えてしまう。

この声をゲットするのにユウヒ様ルートを何周したことか。

今や、ユウヒ様の告白を一字一句間違えずに言える。


迷わずにユウヒ様ルートを選択すると、ユウヒ様が画面に現れた。

十回クリアした人にだけのボーナスステージだ。

普段の勝手に決められた会話ではなくて、実際に台詞を打ち込んだらユウヒ様が返してくれる。


早速。


「“ユウヒ様、おはようございます”っと」

ピコン。

台詞を打ち込んで数秒後、ユウヒ様が微笑んだ。

『様なんて止めてください。恥ずかしいじゃないですか……』

かあああああああああ!!!

可愛らしいから過ぎる!!!
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