オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
いやいやいや、何度も勘違いしてきたでしょ?

それに、これだって私にとって都合の良い、妄想かもしれない。


「いひゃい」

……生憎、夢じゃない。

「あれの続きを読んでもらうのは、少し気が引けるけど、星野さんのためなら今度持ってくるよ」

「えっと、ちょっと待って。整理させて」


どうしてこうなった。

鈴木くんを励まそうと考えたら、私と似ていることに気がついた。

私なら嫌いじゃないと言われるのが、一番だと思って好きと言った。


……って、この状況って、どう見ても私が告白した感じになってる!


違う、違うよ。

でも、鈴木くんを好きなことには変わりないし、鈴木くんからの好意は嬉しい。

それに。


「両思いってこんなにも良いモノだったんだ。知らなかったなー」


私の一言でこんなにも浮かれてしまった鈴木くんに、今から訂正なんて出来ない。

「あは、照れるなー……」

しかも、向こうは漫画に描くほど私を思ってくれてるんだ。

今後の人生においてこんなにも私を想う方はいない。


なら、付き合うってことは嬉しいはずだ。

なのに。


『ほんと、お前って面白いのな』

『馬鹿か。ちゃんと前を見ろよ』

なのに、ケントの顔が浮かんでしまうんだ。


アイツなんて、鈴木くんと比べる価値がないほど嫌いなのに。

どうしてか、強く胸を締め付ける。


ああ、やだ。


「星野、さん?」


「ごめんね、ごべんね。鈴木くううー。ひっく」

涙が次から次へと溢れて止まらない。


やだよ。

これだったら、ケントが好きだって自覚してしまうじゃないか。
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