オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
まさか、ケントとの関係が既に知れ渡っていたの?

いやいや、まさか。

カマをかけているようにも見えないし……。


「委員会の時の態度。最初は苦手なだけだと思ってたけど、二人で会話しているところとか見てたら、まさかなーって」

委員会なんて、つい最近の話じゃない。

ケントを好きだと気付いたのはつい先程なのに、まさかずっと前から知られていたなんて……。

今度は私が真っ赤になる番だった。


「星野さんったら、変に避けているのに話す時は自然に笑顔だから、宮崎先輩が少し羨ましいと思ったことだってあるんだよ?」

鈴木くんはクスリと笑った。


気付いてないでしょ、と意地悪な顔を浮かべる鈴木くんは友達と笑い合う時のそれと似ていて、少し嬉しくなる。

断ってしまって後悔したけど、今までの壁がなくなった気がする。


「私って、そんなに顔に出るのかな?」

「出てるよー」

「うっ」

「それに、星野さんが倒れた時に僕も保健室にいたしね」

「えっ、授業中じゃなかったの?」

「ホームルーム前に星野さんを保健室に運んだんだよ。で、付き添いでずーっとあの場にいた」

鈴木くんはゆっくりと頭を撫でていた手をおろした。

そして、余った手で乾きかけの涙を拭ってくれる。


「どこからか噂を聞き付けて、数分で先輩が飛び込んできてさ。あの先輩がだよ?髪を乱して、血相を変えてさ」

そもそもはケントのせいなのに。

ケントが車に乗せてくれなかったから、バテて倒れたのに。

何で真っ先に駆けつけてくれるんだ。


……馬鹿みたい。


「盗み聞きするつもりはなかったんだけど、星野さんとケントが話してるの聞こえてきたよ。それで、疑問は確信に変わった」

途端、鈴木くんは私を抱き締めた。

ぎゅーっと、力一杯肩を抱かれて、思わずきゃっと声を上げた。


ありがとう、と腰に手を回す資格はない。

私はただ鈴木くんの胸に身体をあずけた。
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