オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww
鈴木くんの筋肉が回復する頃には、大分外が暗くなっていた。

どちらともなく荷物を持ち、帰ることになった。


帰る場所は変わったけど、行く方向は変わらないから……と一緒に帰ろうと思ったのだがーー


「遅い」

校門の前には眉間にシワを寄せるケントが佇んでいた。


「え、あ、何でここに……」

「待ってたんだよ」


好きだと自覚してしまった後だと、ケントの顔を見てるだけで顔が赤くなってしまう。

ケントにバレてないと良いんだけど。


鈴木くんにケントが好きだと言ったけど、ケントに言う気はない。

この気持ちを知られたら、義理の兄妹関係にヒビが入ってしまうかもしれない。

それに、リア充のケントに私みたいなオタクが恋したと知れたら、絶縁されかねない。


「私、鈴木くんと帰るから……」

アンタと二人きりの空間なんて耐えられない。

恥ずかしくて死んじゃうかもしれない。


「うるせー。俺の命令が聞けないのか。言ってやろうか?お前の秘密を」

「や、やめてよ、鈴木くんに言わないで」

何でそんな酷いことを言うんだ。

機嫌が悪そうな表情で、私と鈴木くんの間に入って何がしたい。


「……つまんねぇの」


「えっ、あ。鈴木くん、ごめん。また明日ね」

ぶっきらぼうに言い捨てて背中を見せたケントの背中を追って、私もかけた。

私には鈴木くんが耐えきれず吹いているのは見えなかった。
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