禁断のプロポーズ
「じゃあ、気持ちだけありがたく受け取っておこう。

 持って帰れ、貧乏人」

 ……親切で言ってるんだろうが、微妙にムカつくな。

 そう。

 この人、よく考えたら、結構親切なのだが、どうにも言い方が……と思っていると、もう仕事に戻ったのかと思った智久が言った。

「お前は、本当に、いろいろと呼び込むな」

「え?」

「その一等もだが、通常来ないようなものを引き寄せる才能があると言ってるんだ」

 どきりとした。

 『彼』のことまで知られている気がして。

 画面を見たまま、智久は呟いた。

「……夏目はお前の兄かもしれないぞ」

「は?」

「遠崎夏目は、お前の兄かもしれない」

「すみません。
 まったく耳に入って来ないんですが」

「脳だろう」
と冷静に言ったあとで、智久はこちらを振り向いた。

「確証はない。

 だから言わなかったが、遠崎夏目はお前と血の繋がりがあるかもしれない。

 そう言ったんだ」

 何回言われても、耳に入ってこない感じのする言葉だった。

 いや、智久が言うように、きっと脳が拒否してるんだな。

 そう思った。
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