禁断のプロポーズ
 私は今、この人に求められても、拒否できず、なにも言えない。

 夜半すぎ、寝ている夏目の顔を見た。

 畳に手をつき、身を乗り出した未咲は、薄く障子を開けてみる。

 その隙間から、夜風を感じた。

 膝を抱え、じっとしていると、背中に、じかに風が当たり、気持ちよかった。

 そのまま、目を閉じる。

 いつだったか、夏目が、此処にこうしていても、外からは見えない、と言ったことを思い出す。

 夏目の顔を見下ろした。

 私と似ているような似ていないような。

 いや……、似てないよな。

 でも、似ていると感じなくもない。

 何故だろう、と考えたが、今は答えは出なかった。

 寝ている夏目に、自分から口づけてみる。

「……どうした」
と寝ていた彼が手を伸ばし、抱き寄せてくる。

「なにかあったのか?」

 広瀬になにか言われたのか?
と何故か訊いてきた。
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