空っぽのイヤホン(仮)
-翌日-

朝のホームルームで先生から
屋上に中身の入ったフルーツ牛乳の紙パックが落ちていた、と注意があった。

最近風紀が乱れてるとかなんとかって

屋上はしばらくの間立ち入り禁止になってしまった。



Yシャツを返そうと2年4組まで行ったけど
五十嵐が女の子と話していたからなんとなく帰ってきてしまった。

背の低い女の子。
五十嵐も男子にしては背が低い。

私はそこそこ高い方だから
五十嵐と並んだらあまり変わらないだろう。

やっぱり、ちっちゃい子の方が可愛いよなあ。

残念、と前まではもっと伸びればいいと思っていた身長を恨む。

階段の踊り場にある鏡の前で
手のひらで自分の頭をぐーっと押さえてみるけれど

当たり前に何も変わらなかった。
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