空っぽのイヤホン(仮)
「こっから見ると、プール綺麗なんだね。」

「でしょ、キラキラ。」

「飛び込みたくなるの…なんかちょっとわかるかも。」

「ふふ、でしょ。」

見下ろす透明は、今日の空を映して青い。

「ていうか五十嵐、雨降るって言ったのに晴れてるじゃん。」

「あー、そういえば。ごめんごめん。
でも、明日は雨かも。
さっき授業中、飛行機雲出てた。」

…見てたんだ。

すうっと吸い込んだ空気に
塩素の匂いが混じっているような気がした。

「ウチの学校、プール授業ないのになんでプールあるんだろうね。」

「確かに。水泳部もないのにね。」

「しかも水張ってるし。不思議ー。」

「それは、屋上から飛び込むアホがいるからじゃない?」

むかつく、と五十嵐を睨むと
五十嵐の横顔はへらへら笑っていた。
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