空っぽのイヤホン(仮)
薄く目を開けると
夏の空を映すキラキラのプールと

目を見開く彼の姿。

次の瞬間
大きな音と共に、私は透明の水に包み込まれていた。




「…ほらね、ちゃんとプールの中に落ちたでしょ。」

「ほらねじゃないよ。
ちょっとズレてたら大怪我だったよ。」

疲れた、とでも言いたげな顔をされる。

何よ、たかが15メートルくらいじゃない。
つまんない人、と思いながらも
彼に興味はあった。

「なんで泳いでたの?しかも制服で。」

「暑かったし、鍵開いてたから入っちゃった。」

ふぅん、と返す。

並んで座るプールサイド。

ふたりともずぶ濡れだった。
< 8 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop