藍くん私に触れないで‼
●神様
そのとき、何もかもが終わったのだと思った。
今まで16年間生きてきたけれど、ろくな思い出がなかった。
母親を亡くしてから、ただ無駄に生きてる自分が嫌で仕方がなくて、
きっとこのままいつか死ぬのを待つだけなんだろうと思っていた。
けど、そのときは、思ってたよりもずっと早くにくることになったみたいだ。
自分のそれを知ったのは母親を亡くしてから数ヵ月後のことだった。
学校での検査なんて、めんどうでたぶんそのときが初めてだった気がする。
保健室で検査をしていたとき、医者が変な顔をしていたのを今でも覚えている。
それから自分が母親と同じく長く生きれないことを知ったのはすぐだった。
医者が暗い顔であれこれ説明してくる状況で、俺は思ったより冷静にその状況を受け入れていた。
ほんの一瞬、心臓がいやに高鳴ったけれど、それは本当に一瞬で。
すぐに、ああ、そうか。と、納得がいった。
まるで、呪いみたいだ。
何があっても消えない母さんのDNAが、俺の中から、心臓を、壊そうとしている。
だけど、それは、当然の報いなんだ。
俺は母さんを見殺しにしたのだから。