藍くん私に触れないで‼


桐ちゃんが、ある日、これからも一緒に居たいと言った。

嬉しかった。

この心臓が呪われていなければ、そのとき、彼女を思い切り抱き締めて、キスをして、大切にするよ大好きだよと言っていただろう。


でも、出来なかった。

できるはずがなかった。


呪いは解けない。

彼女の側には居てあげられない。


桐ちゃんを悲しませてしまう。


桐ちゃんを家から追い出した。
ひどいことしたと思う。

でも、これ以上側にいたら、願ってしまう。


彼女との未来を。

生きることを。


それは許されない。


母親を見殺しにした罪は消えない。

償わなければならない。


何があっても、許されはしない。


自分だけ幸せになっていいはずもない。

幸せになれるわけがない。


桐ちゃんに病気のことが完全にばれて、
今度こそ別れることを決めた。

桐ちゃんの側は、願い事ばかり増えるから辛い。


別れたあと、ぱったりと桐ちゃんは病院に来なかった。


願ったことなのに、寂しいと思う自分が消せなかった。
桐ちゃんの側にいなくても、願っていた。

桐ちゃんの顔を見たい。

笑顔が見たい。

側にいたい。


ダメだ。

これは、罪なのだから。
受け止めなければならない。


必死で、願いを殺した。


母さんのDNAが俺を殺す。

それで、全ておしまいだ。


そうやって、償うしかないんだ。


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