藍くん私に触れないで‼


いつからだろう。

こんな疑心を持ち始めたのは。


疑ったところで、どうにもならないというのに。
私といるときの彼は、とても好きだし、まったく嫌う要素もないのだけど、


…演技だもんなぁ

あれは。


しかし、よくもまあ、あんなに上手くするもんだよ。



次の日、いつものように先に学校へ行く彼を見届けて私はあとから学校へ向かった。

家の隅々まで電気や元栓、様々なチェックを終えてから家を出ようとドアを開ける。と、ほぼ同時に隣の家のドアが開いた。


「げ」


出てきた人が放った最初の言葉がそれだった。


「なによ、「げ」て。失礼ね、と、そうだ‼月島くん、あなたよくこの前は嘘ついてくれたわね‼おかげで藍くんアレルギー出させるとこだった‼」


「食べなかったなら良かったじゃない。というか、よく俺の言葉を信じようと思ったよね君。

普通なら嫌われてる人に言われたことなんて信じちゃダメでしょ」


「そんなの知らないし、もうあなたの言うことなんて信じないからいい…
それに、最近はそれどころじゃないし」


最近は、藍くんへの疑心の方が強い。どう考えても利用されてるとしか思えなかったり、学校での藍くんが他の子と仲良くしてるのを見てもやもやしたり、

とにかく精神的に忙しい…




「やっと本当の白木を見れたってとこ?」


「べつに、最初から分かってるわよ。

ただ、色々、考えちゃうだけだし」


「白木はモテるものね。」
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