藍くん私に触れないで‼
そうこうしているうちに、時計の針が登校時間の10分前になっていることに気がついた。
しかし、この窓の淵の汚れだけはなんとか綺麗にしていきたい。
遅刻は決定だろうが、まあ、こんな日もある。
今は窓の淵の汚れが最優先事項。
今ここに爆弾が落ちてこようとも、私は、この汚れだけは取り除くわ。
「こら!!桐ちゃん、学校始まるじゃない!!いったい何をしてるの?」
「ママ、ここの汚れが取れないの。私、このまま学校になんていけない」
「そんなのママが取っておいてあげるから、早く学校行きなさい!!」
「わかったわママ。あと、良ければ本の並べ方をあいうえお順ではなく、左から大きいものを順に並べてくれる?
それから、机の上の置物をシンメトリーに揃えて…」
「わかったから、行きなさい」
「行ってくる」
自室を出て真っ白な壁を確認しながら階段を下りていく。
自分で言うのもなんだけど、うちには金が有り余っている。
それもこれもパパやママが生まれつきのお金持ちな家柄だったからという他ない。
パパは医者でうちの母方の祖父が経営する病院の跡継ぎに決まっているし、将来は安泰だ。
とはいっても、
私の未来はあまり安泰ではないのだけど。
極度の潔癖症により、なりたくても医者にはなれない。
私の将来はまだまだ定まっていない。