藍くん私に触れないで‼
図星。
私そんなに分かりやすいかな。
「どうせ嫉妬してる自分に気づいて、違う違う私のバカバカみたいなことばっかり考えてるんじゃないの?」
「な、なな、なんで分かる…て、違うし‼」
「認めてから否定するのってどうなのよ」
クスクスとバカにするような笑い声がチクチク堪忍袋を刺激する。
どうしてこの人はいちいち私をイラつかせるのかしら。
理解不能。
「私、学校行くので、さよなら。
もう会わないといいわね」
「あ、まって」
「待ちません、話しません」
「まってって。待ってください」
ここはさっさと退散した方が早そうだ。
いったい私になんの用があるというの。
いや、なさそうね。
それに、この人女の人嫌いなはずよね?なぜいちいち私にいじわるなことばっかり、どういうことよ。
まったく、嫌な朝。
「どわっ」
なぜか発せられた自分のよく分からない言葉。
それを理解するのは目の前にコンクリの地面が見えたときだった。
人間てのは、反射というものがあるらしく、私の手はギリギリで危機を関知して両手を顔よりも早くコンクリに打ち付けた。
ビリビリくるしびれに顔を歪めるよりも早く顔をあげた。
「な、なななななに、」
「待ってって言ってるのに、行くから」
「だからって、足に傘引っかけるって、危なすぎるでしょう!?」
自分の足に引っかかるはてなマークのように曲がっている傘の手持ち部分を指差しながら怒鳴ると、月島くんはハテナ?みたいな顔をして余計腹が立つ。
「ごめんね、こけるとは」
「足に引っかけたまま言わないでよ、早くはずしなさい‼」
「逃げない?行かない?」
「わかったから、早く‼」
やっと足の拘束が取れ、私は立ち上がり制服の汚れを払った。
最悪だ。着替えていかないといけなくなった。