藍くん私に触れないで‼

ふ、不良だ。

そのピアス何個ついてるの。

金髪は眩しいし、黒いマスクのせいで顔がほとんど見えない。
黒の洋ランのような服を肩にかけて、腕を組んでる。


目が回りそうだ。


「髪、切られたな」

「あ、はい、では、私は、これで」

「おいまてまて」


私も戻ろうと歩き出そうとすると、右肩に負荷がかかった。


「さ、触らないで」

すぐ振り払った。
のに、今度は腕を捕まれた。それはそれはとても強く。


「い、い、いった!」

「助けてあげたんだけど」

「助けてとは頼んでいません」

「助けたことには代わりねえんだよ、お前バカか、人に助けてもらったらありがとうって言いなさいって先生に習うだろうがコラァ」


顔近い近い近い。

これがガン飛ばし…なのか。

髪切られた上に不良に絡まれるなんて聞いてない。


「ありがとう、は?」

「…あ、りがと、う。」

「すっげーブスな顔で言うんだな!!」

「ブスではないです。美人です」

「今はブスだったぞ」


…むきー!

今のはむかついた。
ダメよ、桐、冷静になりなさい。

私は早く帰らなきゃいけない。

この人は何やらお礼がほしいらしい。

なら、後日に何かお礼をするしかないわね。



「今日はこのあと予定があるので、お礼はまた後程します。ここに連絡先書いておくので、都合のいい日に読んでください」

「ん?あ、あぁ。」

「ではこれで」



もう、なにもかもこりごり。


やっぱり、人間は、汚くて、醜くて、

大嫌い。



嫉妬とか、欲とかに振り回されて、誰かを不幸にして…

って、それ、私もだね。






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