藍くん私に触れないで‼


「ん?菫、顔赤いよ?」

「へ!?あ、赤くないよ!」

「赤いって~、もしかして、藍先輩に恋しちゃった??」

「そ、そんなんじゃないよぉ…」

「も~、照れんなって~」


どうしよう。

私、本当に恋しちゃったかも。


私のことを案じてああ言ってくれてたと思ったら、なんだか急に、胸がドキドキし始めた。


半分食べたカレーパンが、とっても大切なものに思えてきた。


藍先輩……


また、話せるかな…?



私はまた一つ、高校生活の楽しみを見つけた。


それは、藍先輩。



優しくて、かっこいい、藍先輩のことを、見つけること。



それから、先輩のことを見かける度にどきどきして、ちらちら見ながらすれ違った。

もう、私のこと、忘れちゃったかな?

覚えてないかな?


藍先輩はとってもモテる。

告白されているところも、たまたま見たことがある。


だけど、噂によると、藍先輩には彼女が居ない、告白には全てノーで返すって。

まったく面識のない女の子がある日告白して、フラれて、キスしたら諦めると言ったら、

とっても気持ちのいいキスをしてくれたという噂が流れてから、

一年生の女の子の中でもキスしてもらうためだけに、告白しにいく子達が出てきた。


その噂は本当らしかった。



告白した子達は、フラれても元気だった。

というより、告白する前よりも元気になってた。



それから、藍先輩は結構な遊ぶ人だってことも、噂に流れてきた。

女の子達が保健室で藍先輩が誰かとしてるのを聞いたって人もいた。


たくさんの情報のなかで、私は何度も沈んだり、暗い気持ちになったけれど、


それでも、


廊下で見かける度に高鳴る鼓動には、どうしても逆らえなかったんです。





< 64 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop