藍くん私に触れないで‼

何の冗談なのだろうかと頭のなかは重く苦しくもやもやしている。


それでも、藍先輩のちっとも笑わない顔から、藍先輩の話す言葉は全て本物なのだと感じた。


だから、藍先輩は死ぬんだ。


そこまで考えが追い付いて、動揺しすぎて、目がにじんできた。

これ以上、私に、先輩を引き留める気力がなかった。



「ごめん。気まぐれで振り回して。
何回も告白されたの初めてで、全然めげないでくるから、どんなもんかなって、そう思っただけで。

君は、普通の、優しくて可愛い子だから俺には合わないよ」


藍先輩は、ニコッと笑った。それが、作り笑い百パーセントだということは、すぐにわかった。


「先輩に、そういう人って、桐先輩だったり、しますか」


私がそう訪ねると藍先輩は、無言で返した。
それが肯定の意味だとすぐにわかる。


やっぱりな、と感じた。


桐先輩は、フラれてないしかといって付き合ってもないけれど、藍先輩を好きだっていっていた。

たぶん、そういうことだったんだと思う。


だけど、私が桐先輩と会話をした回数は少ないけれど。
私にとってみたら、そんなに強い人じゃないように思うけれど。


普通の、女の子だと、感じたけれど。違うのかな。私と桐先輩は。



「桐先輩って、すごいんですね。藍先輩のこと、知ってるのに、ずっと好きなんですね。きっとこれからも」



そう、無意識に呟いた。

そしたら、藍先輩が私の肩を掴んだ。

その手が、大きくて、すごく、強かったから、私は怖くなった。