藍くん私に触れないで‼
「それで~、月島さんがさー、もーほんとすんごくてー、私もうほんとに……ねえ!聞いてんの!」
「…ん、あ、うん、そうね。すごい」
「そうなんだよー、もう、私、Mでいいかな~ってさー」
「…そう」
「…あのさー、恋ばなしてんのにテンション低く返されると辛いんだけどっ」
もー!と、不満を声にもらす山花。
週末である。
私と山花は昼下がりのファミレスで近況報告していた。主に山花のだけど。
山花は私が月島さんに彼女を預けてから、ほぼ毎日月島さんの家に通っていたらしい。
あんなに嫌がっていたけれど、やっぱり月島さんに任せて正解だったようだ。
「それに、月島さんて、実は結構可愛い顔してんだよあれでー!」
「…そうなの?まともに顔全体を見たことないから分からないけれど」
「ひっどいな~、まあ前髪で目ほとんど見えないもんね~、私もたまたま見たからさ」
山花はとても嬉しそうに笑った。
私も今すぐ何もかも忘れて笑えたらいいんだけど、藍くんの顔を思い出すとどうしても笑えない。
「悩みごとなら、聞くけど」
「え」
どうやら、ばれていたようだ。