愛に結ばれた蝶
ただひたすら泣いた
時間を忘れて泣いた
これ以上ないってほど泣いた
あたしの涙を止めたのは
再びなった結の携帯電話だった
あたしの背中に回る結の手が
マナーモードに反応したのがわかった
「結…
さっきから何の電話なの?」
「……すみません蝶子さん
1度行きたいところがあるんです」
「どこ?」
「来てください」
結は地面に落ちていた携帯電話を拾うと
あたしの手を引いて歩きだした
今にも走り出しそうなほどの早歩きだったので
「走って良いよ」と言ったら
結はスピードを上げて走り出した
前を誘導しながら走る結を追いかけていると
ポチャンッとあたしの頬に水が当たった
結の涙だと気付いたけど
何も言わなかった