愛に結ばれた蝶
着いた場所は
成宮総合病院という
市で最も大きな病院だった
夕方だからか
会社帰りらしい人がいた
結は入って真っ直ぐ受付へ向かい
看護師さんと話すと
小走りでエレベーターに乗りこみ
4階のボタンを押した
結は何も言わなかったけど
焦っているのだけはわかった
あたしは置いて行かれないよう
結について行くだけで精いっぱいだった
あたしの手を引いたまま4階の廊下を歩く結
そして目当ての部屋を見つけたのか
ノックもせずに勢いよく扉を横開きにした
静かな1人部屋だった
ベッドには誰かが眠っている
口に呼吸器がつけられていた
近くに看護師さんが立ち
何かを記入していた
「あ…
藤井さんですか?」