愛に結ばれた蝶







屋上に来ると

冬だからか風が冷たかった

数時間いれば風邪を引いてしまいそうだ


空は夕焼けで綺麗なオレンジ色に染まっていた

時折カラスが飛んで行き

美しい空だった





「チョコ
お前ユイが好きなのか?」


「好きだよ」


「俺よりもか?」


「うん」


「かつて俺が好きだって言ってくれたくせに?」


「ユウ
あたしは過去を忘れられるほど
強い人じゃない

あたしはまだ
ユウとジュンちゃんに裏切られた過去を
忘れないでいるのよ」


「裏切っただぁ?
確かにジュンは裏切ったかもしれねぇけど

俺はチョコを裏切ったつもりねぇぜ?」


「ユウに裏切った気持ちはなくても
あたしは裏切られた気分だった

初めて好きになった人なんだよ
ユウのこと

それなのにユウは
家のお金を持ち逃げするために
あたしへ近づいた

その後は行方をくらますし…

あたしは裏切られたと思ってしまったのよ」







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