愛に結ばれた蝶







「確かに金を持ち逃げしたいから
俺はお前に近づいたけどよ

結局は盗んでねぇじゃねぇかよ」


「確かにそう
お金を盗んだのはジュンちゃんであって
ユウは盗んでいない」


「じゃあ裏切ってねぇな!」


「だけどユウだって盗もうとした
その気持ちが許せなかった

あたしのことも
お金だけのために近づいて

あたしはユウのこと
大好きだったのに
結婚しても良いって思えるほど
大好きだったのに

ユウだったらどう思う?
あたしと同じ立場だったら

結婚したいって思えるほど
大好きな人が
お金のためだけに
自分に近づいたって知ったら
その後行方不明になったら

…裏切られたって思わない?」




ユウは黙り込んだ




「ユウは知らないだろうね
あの後家がどうなったか

ジュンちゃんが持ち逃げして
自殺した

旅館はアッサリ潰れて
両親はショックから病気になって
亡くなったんだよ」


「おじさんと…おばさんが…?
亡くなった…!?」





ユウは知らなかったようだ

漆黒の瞳を思い切り見開いていた






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