愛に結ばれた蝶








結が笑った所で

目的の場所に着く




「…海ですか…?」


「うん
やっぱり今は冬だし
夜だから
人はいないわね」




あたしは砂浜に行くと

結を振り返った




「ここが最初
あたしが結を殺そうとした場所よ

だけどあたしは結を殺せない
だってあたしは

結が好きだから」




一瞬目を見開いた結が

ふにゃっとはにかんだ

…無防備なその笑顔…可愛いって言ったら

結は怒るかな…?




「僕も好きです
蝶子さんのこと

蝶子さんはもう
誰も殺せませんよ

僕が絶対に裏切りませんから」


「ふふっ
裏切ったら殺してあげるわ」


「…冗談に聞こえないのは何故でしょうか?」





あたしは思い切り笑った

笑顔を忘れていたのに

涙も忘れていたのに




結は全部

思い出させてくれた





大好きだよ結

大好き




あたしもう1度

人を信じてみる

結は絶対に裏切らないと

信じてみるよ―――













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