愛に結ばれた蝶
沈黙が再び流れる
不思議と息苦しいと感じない
「……知っていますか?」
聞こえるか聞こえないか
そんなギリギリの音量で
彼が話しだした
「繁華街を騒がせている
連続殺人鬼を」
ピクッと
あたしの肩が反応した
だけど大丈夫
彼は俯いたままで見えないから
「…噂だけね
聞いたことあるわ」
あたしだもの
…とは言わない
「…知っていますか?
その犯人を」
「……知らないわよ」
知っているわよ
知っているに決まっているじゃないの