愛に結ばれた蝶







結局その日のうちに退院した

そんなに長くいられるほど

ウチにお金はないから




包帯だといちいち巻くのが大変なので

手軽な眼帯を購入した



そういえば兄さんは大丈夫だろうか?

医者が何も言っていないってことは

大丈夫なんだろうな



兄さんはあのまま

どこかへ行ったんだ





『……ユイ
何なのよその眼帯は』



久しぶりに母さんから話しかけられ

僕は一瞬驚いたものの

すぐに事情を説明した




『あらそう
ドジなのねアナタって

ついでに
その目も治してもらえば良いのに

突然変異で赤い目のアナタが
産まれた時
何があるんじゃないかってヒヤヒヤしたものよ

そうしたら本当にヒヤヒヤすることあったわ
ヒヤヒヤの方がマシだったけど

きっと父さんが蒸発したのも
杏璃が病気になったのも
ユウが行方知らずになったのも

全部アナタのその目のせいじゃない?』






そう

僕のこの目は突然変異

父さんも母さんも生粋の日本人だし

兄さんや杏璃を含む家族全員

漆黒の瞳をしている



僕だけなんだ

僕だけ赤い目で生まれたんだ


何で突然変異なんてしたんだよ

もしこれが動物なら

凄いって話題になるかもしれないけど




僕がなったら

腫れもの扱いや

からかいの対象や

気味悪いって嫌がられるだけなのに








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