愛に結ばれた蝶
杏璃は集中治療室にいた
僕はそれをガラス越しに見た
『杏璃……』
父さんはいなくて
兄さんもいなくて
母さんは亡くなった
今杏璃を支えてあげるのは
僕だけだ
何とかして
杏璃だけは生かさなければ
例え僕の魂を
悪魔へ売り渡したとしても
僕はここ最近傷つけていた
左手首を見た
母さんに僕の目のせいだと言われた時から
無意識のうちに傷つけていた左手首
…そうだ
死ねば良いんだ
死んだら保険金で杏璃を助けられる
本当は病気が良いけど
僕は健康なのか滅多に病気にならない
自殺は駄目だ
杏璃が哀しむし
保険金が出ないかもしれない