愛に結ばれた蝶
18
蝶子さんの真っ直ぐな瞳に負けて
僕は一生人前で外さないと誓ったはずの
右目を覆う眼帯を外した
瞼に当たっていたものが取れ
久しぶりに右目が空気に触れた
…やっぱりまだ冬だ
冷気を含んだ風が冷たい
「…………」
僕の傷をしげしげと眺める蝶子さん
…そんな見つめるものじゃないんだけど…
「……触れても良い?」
想像出来なかった発言に
僕は一瞬固まった
だけどやっぱり蝶子さんの目は真っ直ぐで
こくりと頷いた
触れられても別に構わない
痛みとかは感じないから
ただ傷に当たるなって感覚なだけで
蝶子さんがゆっくり手を伸ばし
僕の右目に触れた
冬のはずなのに
蝶子さんの手はあったかかった