愛に結ばれた蝶
18









蝶子さんの真っ直ぐな瞳に負けて

僕は一生人前で外さないと誓ったはずの

右目を覆う眼帯を外した



瞼に当たっていたものが取れ

久しぶりに右目が空気に触れた

…やっぱりまだ冬だ

冷気を含んだ風が冷たい






「…………」




僕の傷をしげしげと眺める蝶子さん

…そんな見つめるものじゃないんだけど…




「……触れても良い?」



想像出来なかった発言に

僕は一瞬固まった

だけどやっぱり蝶子さんの目は真っ直ぐで

こくりと頷いた




触れられても別に構わない

痛みとかは感じないから

ただ傷に当たるなって感覚なだけで




蝶子さんがゆっくり手を伸ばし

僕の右目に触れた



冬のはずなのに

蝶子さんの手はあったかかった








< 162 / 179 >

この作品をシェア

pagetop