愛に結ばれた蝶
名前を呼ぶと
藤井結は顔を上げた
ハッと息を飲んだ
一緒に居た
また別の部下が
「ヒッ」と声を漏らした
包帯に右目を覆われた少年
覆われていない方の目は
血のように真っ赤だった
簡単に話を聞いて
病室を出て
彼を担当した医者に聞いた
『突然変異みたいですよ…
気味悪いですよねあの目は
産まれた時からあの目らしいです
何故あんな色なのか理由もわかっていません
…可哀想に
あんな目を持っているだけでも
周囲の人間から
腫れもの扱いされるだろうに
彼の右目
酷い傷跡が残ってしまっているんですよ
もう見るに耐えないほどの傷がね
ますます周囲の人間との関わりを
絶ってしまいそうですね…あの子は』
その後は彼も退院して
どうしたのかわかっていなかった