愛に結ばれた蝶
4
僕の目を見た彼女は
固まって何も言わなかった
僕は聞かれないよう溜息をついて
再び視線を落とした
「…殺してくれますか?
僕のこと」
彼女は黙ったままだ
「聞こえているんですか?」
「……わかったわ
そこまで言うのなら殺してあげる
だけど特別よ
普段あたしは
頼まれて殺人なんて起こさないんだから」
「ありがとうございます」
僕がお礼を言った所で
洗濯機が洗濯を終えたことを知らせる
僕よりも前に洗濯機をまわしていた
彼女の洗濯機はいつの間にか止まっていた
気が付かなかったな…
彼女の洗濯機が止まっていたなんて
それほど僕は
彼女へ“僕殺し”を頼むのに
必死だったんだな……