愛に結ばれた蝶
父さんは親馬鹿で
小さい頃はお客さんたちに娘だって
あたしを紹介していた
数が多すぎて父さんが誰にあたしを
紹介したかなんて覚えていなかった
『ようやく資格を取って
オレは生まれ育ったこの街に戻ってきた
戻ってきて早々この旅館を見に行ったよ
そうしたらチョコがお客を見送っている最中だった
変わらないチョコの笑顔に
オレはやっぱり好きだと思ったよ
支配人や女将さんに頼み込んで
オレはようやく修行を始めることが出来た
チョコとも話せるようになった
それなのに!
チョコの隣にいるのはオレじゃなかった
なぁチョコ別れろよ
あんな男よりオレの方がよっぽどチョコを
愛しているんだ
チョコ…オレを選べよ』
『む…無理だよッ!』
あたしは必死にジュンちゃんの肩を押した
だけどジュンちゃんはビクともしない
ますます強くあたしを畳へ押し付けていた
『チョコ
オレを好きだと言え
アイツを捨てろ
オレがお前を幸せにするから』
『ヤメテッ!
あたしは彼が好きなの!
ジュンちゃんのことは
友達としか思えないよ!!』