愛に結ばれた蝶
12
蝶子さんは何も言わなかった
ただ「行こう」とだけ言った
本当は今すぐにでも
僕を殺したいはずなのに
蝶子さん
あなたはやっぱり
優しい人だ
『ブーブーブー』
ポケットに入れていて
さっき蝶子さんに見せた携帯電話が
マナーモードで震えた
「出ても良いわよ」
「ありがとうございます」
蝶子さんは立ち止まったけど
振り返らず言った
ディスプレイを見ると
見知らぬ番号だった
…一体誰だろうか?