愛に結ばれた蝶
13
結は笑っていた
泣きながら笑っていた
左目から涙を流しながら
結はずっと乾いた笑いを漏らしていた
「……結…」
名前しか呼べなかった
他になんて声をかければ良いのかわからなかった
「あたし…
アナタを殺すわ…」
あたしは持っていた鞄から
愛用のナイフを取り出した
何度も繁華街で
何人もの人を殺めた相棒
「それで良いんでしょう…?
アナタは満足でしょう…
……結…」
あたしはナイフを握った
結
結
ありがとう
そして
ごめんなさい