冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 リューリはアシュレがシルビアの手をとり、踊りの輪の中へ
 入っていくのを、呆然と見ていた。

 踊りはじめた二人を見て、回りから感嘆のため息のような
 ものがもれる。



   「なんてお似合いなお二人なんでしょう。」



 リューリの耳にひそひそと囁かれる声が聞こえてくる。



   「では、あの噂は本当なのですね。」

   「ああ、陛下が側妃をお持ちになるという話しだな。」



 無遠慮な視線が自分にむけられるのをリューリは感じた。


  (どういうこと?)


 急に何も音が聞こえなくなり、アシュレとシルビアの姿以外は
 何も見えなくなったかのようにリューリは感じた。

 呼吸が浅くなり、頭がじんじんする。


 今聞いた話は本当なのだろうか、、。

 いや、本当なのだ。

 目の前で踊るアシュレとシルビアを見れば、、、。


 
 リューリはそっと目を閉じた。
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