冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
暖かそうな湯気をたてる紅茶のカップを前にリューリは
気が抜けたようになって座っていた。
昨夜はほとんど眠れなかった。
夜遅くに、アシュレが寝室に入ってきたのもわかってはいたが
リューリは寝たふりをしたし、朝はわざと起きなかった。
だから、アシュレとは顔をあわせてはいない。
昨日は動揺したリューリだが、今は幾分、落ち着きを取り戻していた。
アシュレはもともと自分との間に子はもうけなくてよいと言っていた。
だから側妃を持つ、、、、
当たり前のことなのだ。
皇帝としての責任があるのだから。
そう、リューリは自分に言聞かせた。
それなのに、何故、こんなに悲しいのだろう。
裏切られたような気がするのは、何故だろう。